わーひさしぶり

2004年9月10日
<川端康成 新潮現代文学1巻>
千羽鶴
波千鳥
眠れる美女
古都
たんぽぽ
が収録(?)作品
眠れる美女が読みたかったんですが、もう全部読んだ。
学生の時読んで以来の川端でしたが、いやいや、読みやすかった。
いい本は大人になってから読み返すのも一興ですね。というかナゼに文学全集とかは学生の時だけよく読むのかな?大人になるともうこんなかたっくるしいもん読めるかと思っちゃうんですが、一通りラフなもんばっかり読んでると、こうしっかり読めるものも実にいいですな。
山本有三とか、谷崎潤一郎とか、きっと今読んだ方がよく判るんだろうなあって思いました。
(そりゃそうだ、中学や高校で判ってなるもんかって感じですよね)
眠れる美女はご存知、老いさらばえて不能になったじーさんが、若いお嬢さんと一晩添い寝する話です。お嬢さんは素っ裸で、絶対に起きませんってのがウリなあやしーい設定なんですね。
これを読んで、古都を読んだ時に、あれっと思いまして。なにを?というと古都の主人公の父親は帯の図案を描く人なんですが、山奥の尼寺に篭って仕上げた図案がちょっと危うい感じなのですね。生き別れたそっくりな双子が出会って、一緒に眠るってのもちょっと危うい設定、となんだか気になってましたら、この古都を執筆中、川端は睡眠薬を多用しすぎて、脱稿後に中毒で入院。退院後には古都の内容をほとんど覚えて居なかったそうなのです。えーそんじゃこれドラッグ小説かよ?と更に気になって(というのは眠れる美女も、結構異常な設定ですよね?更に片腕という小説もありますが、これもシュール。今までの川端作品の傾向からして異色なのは明らかで、もうこういうのすっごい気になるんですよ、そのバックが)古都執筆中近辺には何を書いたんだ?というか、もしかして眠れる美女や片腕はその頃に書いたんじゃないか?と思って調べたおしました。しかもたんぽぽという作品は未完ですが、狂人の話です。もー気になるっつーの!で、以下が年表。

☆川端略年表☆
1899 生誕
1926 伊豆の踊り子
1935 雪国
1960/1〜61/11 眠れる美女
1961/10〜1962/1 古都
1963/8〜1964/1 片腕
1964/6〜 たんぽぽ(未完)
1968 ノーベル賞
1970 三島由紀夫自殺
1972 自殺

眠れる美女と古都はやっぱり被ってましたね。
片腕もその直後だし。

自分がこういう風に、作家の背景や、その書かれた時代を気にして読むようになったのは実は高校1年の時の現国教師の担任のお陰であります。
この先生が嫌いだったんです(この先生は青春教師と呼ばれていた、青春ヤロウで当時生意気盛り絶好調だった自分はもううざくてうざくて仕方なかったんですね、ありがちですが)
担任になってまず個人面談をやりましてね。それは冒頭にいきなり
「お前はなんでオレの授業のノートを取らないんだ?」
で始まりました。予想済みだったんですがきたきたーって感じでした。
こももさんは中学2,3年生の頃から国語の授業のノートを取るのをやめてしまった人です。別にさぼってたわけじゃなくて、板書したものはノートに取るだけの意味が無いと思ったからです。そんで生意気絶好調だったので、その先生にも当然こう言いました。
「ノートを取る意味が無いからです」
「意味がないとはどういう事だ?」
そこでとうとうと言ってのけました。
先生が黒板に書く事は、教科書の一部抜粋、若しくは内容の要約、まとめでそんな事は一々ノートに取る必要は感じない。
うーわー、先生ごめんなさい!今なら謝りますー。うっわ、高校生ってほんとすげー生意気ですな(笑)自分が教師で、生徒から「お前の板書は無意味だ」なんて言われたらもうすごいショックでございますよ。
たかだか15,6歳のコにそんなこと言われたくないですよねー。
先生は唸っていました。しばらく唸っていました(ごめんなさい)
それでも書くということは、意味があるからノートを取れと言われましたが、頑として必要を認めないこももさんは絶対に嫌だと言い張り、取れ、取らないの押し問答で面談は終了したのでした。
(あ、でも誤解無きように。授業はばっちり聞いてましたよ?そりゃそうだ、ノート取らないんだから授業位聞かないとアウトですもんね。そんで、結局国語の授業って読解ですから、意味が取れるところは理解出来てるって事です、一発目で意味が取れたところは後に意味が取れないなんてことはあり得ないですし。理解出来ないとこは、捕捉説明を教科書のはじっこにちょこちょこメモを取れば足りたって訳で、だからノート取らなかったんです)
まーそんな感じで互いに相容れるところが皆無だった先生と生徒だったわけですが、この先生、教師としての実力だけはほんとにございました(や、多分いい先生だと思うんですよ、自分が気に入らなかっただけで)
で、授業の中で、この先生が読書の仕方ってやつを教えてくれたのですね。それが書かれた当時の時代背景を考慮に入れつつ読めってやつで、それから自分の読書スタイルは極力それに則っています。
やっぱりその書かれた時代によって考え方や文化とか違うものだし、それを今に当てはめて考えるのは無意味だからです。
その時代特有の事情もあるし、そういうの判って読むと又楽しいですね。

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