うーむ

2004年9月29日
<川端康成・三島由紀夫往復書簡>
川端の方は、多少は読んでいるものの、三島ときたらさっぱりです。それは、読むより先にかの有名な(?)割腹自殺の方を知ってしまったのでなんとなく遠慮したまま現在に至っています(潮騒くらいは読んだかな)
だってこのご時世(1970)にハラキリですよー?もう考えられないー、と思って。それに写真とか見るとなんかこの人、顔もちっとごついしガハガハなんでも笑い飛ばしそうなどっちかっつーと豪快タイプに見えました。
しかーし、しかしこの書簡を見ますと、自分の勝手な三島のイメージがガランガランと崩壊しましたです。
筆まめですね、そして内容も丁寧です、どちらかといえば繊細といえる位。ユーモラスで、いつも川端の体調を気遣う一言が添えられています。
・・・なんていうか、いいひと?
川端に推薦文を書いてもらったと言っては大喜び、書いたものを誉められれば、大はしゃぎと、なんかそういう事を素直に書いてしまうところがどうもああいう自決をする人物像と結びつきません。

川端の方は、あの文体から察せられるような淡々とした感じですが、だんだん厭世的な感じが端々に出てくるようになります。体調不良にも関係しているのでしょうが、それでもさっぱり系。
みづうみを、「やけくそ」と書いたり(笑)
こういうとこが少し可笑しいです(作品からは伺えない感じです)
最初は業務連絡に近いような川端の書簡がだんだんと「書簡」らしい内容になっていくのもほうと思いました。
そして、三島からの44年8月の手紙に(自決は45年11月)それらしいことが仄めかしてあります。あぁ、この人はこんな時期から決めていたんだなあと思いました。
文中でも、自分の死よりも、死後の家族の名誉の方が怖いのだと書き綴っていて、昨今自分のことしか考えない死が多い中考えさせられるものがありました。
なんにせよ、こまやかな人だったのですね。まめというか愛情深かった人だったんでしょう、川端が入院をする時の手紙はこれは珍品かもしれないです。入院に必要なものをだらだらーっと書き出してるんですが、洗面用具一式(歯磨、歯ブラシ、洗面器、化粧石鹸、髭剃り道具)
なんだよ、このカッコの中(笑)普通は一式で止めないでしょーか?あんた小学生に書くんじゃないんだからさ。
更に上野の松坂屋でほとんど揃います、って書いているんですが
松坂屋(月曜定休)とまで書いてあるんですよ!三島さん、やりすぎです。
あー三島読みたくなっちゃったよ。
読もう。

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