残花亭日暦

2005年4月14日 読書
や・ら・れ・た!
田辺聖子の日記なのであるが、巻頭に”日記というものはなぜか愉しいことより愚痴や憤懣にを並べ立てるものが多いのでこれは愉しいことだけを書く日記にしよう”みたいな口上が述べられているのですね。
ところが最初読んでて、ん?なんじゃこりゃ、別にそう愉しい日記でもないぞな?と思いまして、頭をひねりながら読み進めていくうちに気づきました。
この日記って期間は氏の夫が癌を患い亡くなるまで、つまり一番辛くてしんどい日々を敢えて”愉しく”綴ったものなのですよ。そういうことかーと思って、やられたよ、うかうかと巻頭の口上なんかにのせられてしまったけどそんなお気楽なもんじゃ無かった。やるなー。
タイトルの残花、というのは、散り残った桜のことですが、ここにも捻りが効いていて、なんでしょうね、私のような人生の若輩者には上手いことぴたりと言い表す言葉が出てこないのですが格段の深みを見せられたような感じ。
日記本文もしかり、構成もしかり。

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