厄除け詩集

2005年6月21日 読書
黒い雨だとかさー、蟹工船とかさー、山椒魚?読んだよ、一応ね。
だけど何がいいんだかさっぱりわからなかった井伏鱒二。
そりゃそうだ、この人は「詩人」なのだ。
詩はずっとわからないと思っていた。実際理解不能な世界だった。今から思えば詩を解するに必要なもんがごっそり抜け落ちていたのですね、自分には。
この本には漢詩を訳した訳詩とご自身の詩とが収められていて特に素晴らしいのが訳詩。
こういうのが本当の訳詩なんだってわかった。今まで外国の詩ってのがどうにもこうにも馴染めなかった。だってあれ日本語に置き換えただけなんだもん、みんな。
井伏の訳詩は、翻訳と同じように日本語にしていて、詩の持つエッセンスをそっくりそのまま日本語に直しているところがすごい。
詩というのはもしかして読むより聞くものではないかって思う位、リズムのいい詩というのは秀逸なものばかりだ。
学生の頃漢詩の授業で春望をやった時(国破れて山河ありのやつね)音読を皆で何回かやったのですが、これは割と長い詩だったと思うのですがおっそろしー事に読んだだけで頭に全部はいっちゃったの。
覚える気なんか更々なかったのに。かようにリズムのいい詩ってのは浸透力があると思うんですが井伏の訳詩は訳詩になったものにもこの浸透力があっていやはやもうすごいんだから!
そういえば生前井伏鱒二は作家よりも詩人と呼ばれる事を好んだそうですね。

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