ご存知、ラスカルの原作でござる。
ふと原作ってどんなんだっけ?と思ったら矢も立てもたまらず読みたくなったのですがどうやら一度絶版の憂き目にあったみたい。えーうっそーこんないい本が〜??
この原作ラスカルは、作者のスターリング・ノースのラスカルと出会ってから別れまでの1年の自伝ですねー。アニメのラスカルとはちょっとディテールが違っています。
先ず本作では1918年という戦時中の話だということ(戦時色があちこちに出ています)アニメでは話の途中で亡くなるお母さんが既に亡くなっていることやアニメオリジナルの登場人物とかね(アリスは本編では出てきません)お父さんはとんでもなく放任主義で山師っぽかったりしてどーもお母さんはそこら辺の気苦労が元で早死にしたっぽかったり、スターリングもほっとかれっぱなしで困惑したり淋しかったりラッキーだったりしています。
だけどアニメはなんであんなに悲惨ぽいのだ?だってお母さんは死ぬし、事業に失敗して倒産寸前まで追い込まれて家も売って一家離散だしさ。かなり悲惨ですよね。
色々違ってびっくりだよなんて感想も拾ったりしたんですが、そうかな。アニメは原作のイメージやテイストを非常によく表していて少々設定が違ったって根底に流れるものは同じです。
それになんつっても日本とは違う、アメリカの雄大であふれるような自然描写が隅々まで満ちていて素晴らしいです。
それとスターリングの生き物に対する思いやりと愛情を持った姿勢も原作ではよく描かれています。ただかわいいからではなく、彼は常に生き物にとって誠実で尤も心地よい関係はどういうのかを考えています。そこには双方向の関係があって単なる飼い主とペットの一方的なものではないのですね。
だから成獣になりかけたラスカルはもう自分と暮らすのは幸せなことではないのだろうと考えて森に放すのです。ラストのシーンはアニメとそっくり同じですけれど「すきなようにしたらいいんだよ、ラスカル。おまえ自身の一生じゃないか」ってこれをたった12歳の男の子が言うわけですよ。
挿絵の版画がとても素敵です。ぜひ手にとって一読あれ。

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